
今回はより専門的な技術解説となっています。
スポンサーリンク
Mark Cerny, lead architect of PS5 and PS5 Pro, presents a technical seminar on PS5 Pro to an audience at Sony Interactive Entertainment HQ in San Mateo, California.
Mark Cerny氏がSIE LLCで行ったPS5Proの技術について解説する講演の動画がこちら。
きちんとした日本語字幕も付いているので、字幕を表示した方が分かりやすいですね。
さておき、PS5Proを開発した背景や狙いについても話をしているのですが、
・PS4Proと同じく、中間世代のハードは開発者への負担を小さくせねばならない
・ハードの設計開発には4年が必要なので開発が始まったのはPS5が発売される前の2020年から
・まずはGPUの大型化でレンダリング速度を向上
・レイトレーシングハードウェアのアップグレードによりレイトレーシングの大幅速度向上
・AIアップスケーリングの為の機械学習用カスタムハードウェアの実装
・そこで動作するAIライブラリ、PSSRの開発
といった目標が設けられ、具体的には
・GPUが通常PS5の18WGPから30WGPに大型化された“ハイブリッドRDNA GPU”を採用
・ハイブリッドというのは複数世代のRDNA技術を組み合わせているため
・PS5Proが搭載するGPUの基盤となる技術はRDNA2.xと呼ばれるRDNA2-3の中間に位置する物だが、これはPS5と同じコードを利用できるようにするため
・性能向上の為にメモリも大容量化・高速化されており、帯域幅576GB/sは通常PS5より28%高い数字
・これが必要な理由はPSSRの内部バッファに数百MB、レイトレーシングも簡単に数百MBのサイズに達するデータが必要となるため
・このため、PS4Proと同じく低速のメモリを追加し、そこにOSの多くを移動させておく事でゲームが使えるメモリ容量を増加させている
・PS5と共通のシェーダコードを使えるようにするためRDNA2.xを採用しているが、RDNA3からも多くの機能を取り入れ頂点処理やプリミティブ処理の幾つかが高速化されている
・PS5Proの浮動小数点演算性能は33.5Tflopsではなく16.7Tflopsだが、Tflopsの数字自体にはあまり意味がない。実効性能が2倍になるわけではないし、RDNA3の“ちょっとしたボーナス”となる性能向上の恩恵はPS5Proでも受けられる
・WGPが67%増加したので67%処理速度が向上したという事も可能だが、実践ではメモリ帯域幅やゲームエンジンなどの影響もあり、実際のレンダリング速度向上は45%ぐらいが現実的
・その速度向上分を使ってレイトレーシングなどが追加可能に
・WGP以外にも機能が追加されており、光線の計算速度は通常PS5の2-3倍になる事も珍しくない
・通常PS5がアクセラレーション構造が4グループのBVH4だったのに対してPS5ProはBVH8がオプションに追加され、光線のチェックを行うIntersection Engineも倍速で動作する
・分岐に関してはハードウェアでのスタック管理も可能となり、シェーダのコードが大幅に簡素化され、結果として処理速度が向上する
・この場合は二つのコードが必要になるが、これは光線の進行を管理するシェーダプログラムに限られるので開発の負担は最小限に抑えられる
・機械学習による超解像技術については、高品質なアップスケーリングが実装出来ればより少ないピクセル数で同等の出力品質が実現出来るようになり、その分レイトレーシングを追加するなど画像の質を大幅向上させることが可能になる
・PS5Proでは一般的な機械学習ハードウェアではなく、特定の機能に特化されたもの
・選択肢として大型NPUを追加するかGPUを強化するかのどちらかで、GPUの強化を選んだ
・超解像技術については他社の技術ライセンスを取得する選択肢もあったが、一度採用するとずっと使う必要があるため独自ハード・ソフト技術を構築する道を選んだ
・PS5Proのピーク演算性能(整数)は300Tops(8bit)、これは毎秒300兆回の演算をバイト単位で行うという事
・だが、これはPS5Proの576GB/sというメモリ帯域では大幅に制約されてしまう
・GPUチップ内部で完結する事が必要だが、L2メモリでも数TB/sに過ぎず帯域が足りない為カスタム設計が必要に
・PS5ProにはGPUのWGPが持つ128KB*4のベクトルレジスタがあり、これは合計帯域幅が1TB/sを超えるが、これを15MBかつ総帯域幅200TB/sに達する高速なメモリとして活用出来るように
・このためにレジスタRAMを効率的に活用するための修正を行う事になり、44個のシェーダ命令を追加した
・16bit演算の性能を押さえることでチップ面積とコストを低減
・PSSRの超解像技術については、テレビ側の制限で一定のフレームレートが求められる場合が多いため変動するレンダリング解像度に対応する超解像技術が必要に
・実装では様々な問題も生じたが、時間がかかっても独自技術を構築する決断をして良かった
・結果は良好で、今後の未来が更に明るい物になると確信している
・将来の話をすると、従来のレンダリング手法であるラスタライズレンダリングについてはGPUを大きくするかメモリを高速化することでしか性能が向上できない為、成長の余地はそれほど多くない
・レイトレーシングは今後10年で性能が飛躍的に向上する進歩があると予想している
・機械学習は最も大きな成長の可能性がある
・PS5Proの機械学習アーキテクチャは非常に優れたものだが、「PSSRを実行する際の完全融合ネットワーク」という究極的な目標には達していない
・より高度なニューラルネットワークも成長の源と成り得る
・これにより高品質なアップスケーリングがより高い倍率でも実行可能になれば、実質的なGPU性能がその分向上したのと同じ効果が得られる
・PS5Proの開発を通じて機械学習向けハードウェア設計やニューラルネットワークについて良い知見が得られた
・このためAMDとの更なる連携を開始したとお知らせ、AMDの赤とPlayStationの青からヒントを得て、プロジェクトのコードネームを「Amethyst(アメジスト)」と命名
・最初の目標は機械学習の為のより理想的なアーキテクチャの構築となる
・ゲームにおける機械学習に主眼を置いているが、これはグラフィックライブラリに限定される物ではなく、開発者も直接AIや機械学習に取り組めるものを目指している
・もう一つの目標はゲームグラフィックス用の高品質CNN(畳み込みニューラルネットワーク)のセットを並行して開発すること
・このコラボレーションは数年に亘る物と予想している
といった話をしていますね、大幅に簡略化してもこの長さなので、詳しくは実際の講演動画をご覧下さい。
PSSRに関してGPUのレジスタを活用するというアイデアは、PS3のCell B.E.で採用されたSPEの活用が応用されていそうですね。
また将来的な技術開発についても話題が出ていますが、これがPS6(仮)のグラフィック周りで採用される技術の基盤となりそうです。
半導体の微細化とコストダウンのペースが鈍化、というかあまり進まなくなっている現状、演算性能あたりでより効率的な技術を採用することが必要となるでしょうし。
PS6(仮)はコスト面の制約からSoCのダイサイズはPS5Proよりも小さくなるでしょうが、実効性能はそれをも大きく上回る物になるよう開発が進められていると見て良さそうですね。
ところでこの動画に対しニシくんが三猿モードに入っているような…?
ゲハ板の勢い順スレ一覧上位を見ても関係しないスレしか目に入りませんし。
理由としてニシくんには単純に内容が難しいという事もありそうですが、RDNA2がPS5の基盤と言明されている事が“ゲハの現実(※妄想)”にとっては不都合だとか、任ッチ後継機種で採用してクレクレ言っているマジカルDLSSが携帯機ではメモリ容量や帯域、消費電力といった面で実装するのが難しいという現実(現実)に直面してしまうからという所もあるんですかね。
任天堂Sugeeeee。
ちなみにPS5Proですが、Amazonでも招待販売が解除されていました。
通常PS5が過去1か月に1万点以上なのに対し、PS5Proは3千点以上とそれなりの割合で売れているみたいですね。
追記:誤字を一カ所訂正しました、ご指摘ありがとうございます。
原因がよく分からないのですが、タイプ抜けもしくはtypo→推測変換が誤爆というパターンとかかも…?

・PlayStation 5 Pro(CFI-7000B01) (Amazon)
.
短絡的にDLSS乞いしてるニシくんやyasudがバカみたいじゃないですか(´・ω・`)